母からの電話は二度とかかってこない。なぜなら…

母からの電話は二度とかかってこない。なぜなら…

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2018.6.7(木)

母と娘の関係

私は、母親からの束縛が強くて本当に嫌でした。
しかし、イヤとも言い切れずにずるずると引きずってきました。

私自身、正直若くはない年齢です。
母親は仕事一本で頑張ってきた人ですが、早期退職後はすることがなくなったのか、しょっちゅう電話をかけてくるほどでした。

その電話の内容も本当にうざいとしか言いようがないものでしたが、もう二度とかかってくることはありません。
というのも、母が亡くなったからです。

仕事人間だった母

私の母は、ずっと看護師として働いていました。
早くに父とは離婚してしまっていたようです。
子供は私一人でした。

家計のためでもあったのでしょうが、当時にしては結構稼いでいたし、旅行も同僚の人とよく出かけていました。
それでもストレスは溜まるようで、家でお酒を飲んではよく荒れていました。

これだけ書くと、どうしようもない親といった感じがしてきます。
私が進学するときは、なんとお金を出してくれませんでした。

というのも、どうやら稼いだだけ使ってしまうみたいで、貯金が全然なかったんです。
びっくりしました。

母を支えているのは、育児をしてきたというよりも、仕事を何十年も頑張ってきたというところが強いようで、退職したら一時期は心配になるくらいボーっとしていました。

私が結婚して、子供が生まれるとその世話をしに、しょっちゅう家に来ました。
暑苦しくて喧嘩をすることもあったのですが、なんだかんだ理由をつけて家に上がり込んできます。

親だし、私の手伝いをしてくれるというし、そこまで邪険にできなくて、私はずっとズルズルと母の好意を甘んじて受け入れてきました。

働き始めた私

私が仕事を始めたら、当然母と話している時間なんてありません。
子供ももう大きくなってきたため、母の手も必要なくなりました。

そうすると今度は、しょっちゅう具合が悪いという電話がかかってくるようになりました。
具合が悪くはないのでしょうけど、電話してくるんです。

一度、あまりにも心配なので様子を見に行ったことがありました。
実際は何のことはない、普通に生活できる状態だったのです。
暑苦しいと思ってしまう自分がいけないのかな、とすごく悩んだ時期もあります。

しかし、具合が悪いと言って電話をかけてくるのは、気を引きたいがためのパフォーマンスなんだと気づいたとき、ばかばかしくなってしまいました。
それ以降は基本、母からの電話には出ないようになりました。

まさかの事態

そんなこんなで数年過ごしていましたが、ある時、本当に具合が悪くて電話をかけてきたことがありました。
それも後から分かったことです。

私に毎日かかってきた迷惑電話が、その日を境に途切れたのでおかしいと思い、母の家へ様子を見に行きました。
家にあったのは、母の遺体でした。

医師によると、脳の血管が切れたことが原因だったようです。
あの時、もし電話に出ていたら何か違っていたのかなと思うと、自分のせいで母が死んだような気がして苦しくなります。

よく考えれば、私じゃなくて救急に電話すればよかったのに、とも思います。
医師からは突発的な発作と聞いていたので、本人的には何の前触れもなく亡くなったはずです。

だから私が電話に出ていようがいまいが関係のないことと思いたいのですが、どうもそうは思えません。
今でも、たまに思い出しては苦しくなるばかりです。

鳴らなくなった電話

私の母による束縛は、もう二度とありません。
母そのものがこの世にいませんから、束縛されようがありません。

不思議なことに安心なことでもあり、すがすがしい気分でもあります。
ただ、すがすがしいはずなのに、寂しいことには変わりはないのです。

もう目の前で、動く母を見ることはできません。
母への気持ちが、ただ寂しいとか悲しいといったものだけではない自分が嫌で何年か悩みましたが、最近は自分の中でもやっと整理がついてきました。

母の迷惑な行動がなくなったことと、母という存在がこの世から消えてしまったことは、私の中では別の問題なのです。

母に伝えたいこと

母への恨みは、もっていても仕方がないと思いました。
世の中にはいろいろな親子がいます。

私がとある国の人と友達になったときのこと、日本人的にはマザコンか?と思うくらい親子でしょっちゅう電話している人がいました。
正直びっくりしましたが、親を大事にすること、家族が大事とされているお国柄だそうで、親離れ、子離れもはっきりとはしていないみたいです。

ああいう親子関係だったら、母はもしかすると迷惑がられなかったかもしれません。
私のようなタイプの娘で、なおかつ親子関係がべたべたするのを良しとしない日本だったから、母は嫌がられたのかもしれません。

何かの縁があって親子になったのでしょうけど、仲良くできなくてごめんね、と私は今でも思っています。
母と仲良くできなかったことは、きっと誰のせいでもないでしょう。

親子といえど、個々の人間です。
相性が合わなかったのだと、思いたいのは私だけでしょうか。

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